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東京に来てから、本当に多くの人との繋がりが生まれ、関係を持つが増えた。
しかし、なぜだろうか。それでも意外と孤独や寂しさを感じる時間は多い。

そんな僕に趣味である釣りの友達ができた。
それは最近のこと。

彼といろんな景色に、魚に逢いに行く。
そして語る。

釣りが余計に面白くなったし、
これは紛れもなく趣味だと言える。

こうやって釣りの情報発信に関わっているので、
当然昔からずっと釣りが大好き・・・というわけではない。

実は最近「釣りへの愛がもの凄い勢いで再燃した」
が正しい。

昔は父に頻繁に釣りに連れていってもらった。
中学生の頃には、当時ブームだったルアー(擬似餌)での
ブラックバス釣りにハマり、自分一人でも行くようになった。

しかし、その後の高校大学時代とは友人にも影響され、
スノーボードや音楽といった他の楽しいことに“浮気”した。

そしてそのまま就職。

地元から東京に出てきて、仕事に飲み会に週末のゴルフ。
気がつけば自分の時間なんてなく、
趣味だって何か周囲の人に合わせるように
取り繕っていたような感じだ。

そんなとき、夏の休暇を使って地元の大阪に帰る機会があった。
昼過ぎに実家に着いたら、
そこには母と愛犬(ヨークシャーテリア)しかいない。
父は朝から鮎釣りに出かけたとのことだった。

夜遅い時間に父が帰ってきた。
満面の笑顔。

その表情に良型の鮎がたくさん釣れたことが証明されている。

「どんだけ楽しかってん」

つい、心の中でツッコミを入れてしまうほど。

父はかれこれ50年以上釣りが趣味である。

毎年、特に大好きな鮎釣りのシーズンが終わると父は酷く落ち込み、
風邪を引く。そして寝込む。

母はその父の様子ををみて「秋の訪れです」と僕にメールをくれる。
これは季節の変わり目の風物詩なのだ。

「釣りってそれだけ面白いのか?」

父をみて、それだけ長い間ハマれる趣味があって羨ましいのと、
同時に自分も釣りを10年ぶりに再開してみようと思った。

ちょうど社会人になって数年が経ち、
自分で稼いだお金を何か心底ハマれるものに投資したい気持ちがあった。

それからすぐに、僕も東京で釣りに行くようになった。
昔使っていたブラックバスのルアー釣り用の竿とリールを
実家から持ってきて、糸や仕掛けは渋谷の大手チェーンの釣具屋で買った。

ここはスタッフの方が優しく、
その時期に初心者でも釣りやすい魚と釣り方、
そしてそれに必要な道具を教えてくれた。でも、ちょっと後悔もした。

「昔に釣りをやっていたから僕は素人じゃない」という変なプライドが邪魔して、
入店してからスタッフの方に聞くまでに少し時間がかかった。

餅は餅屋。
分からなければスグにプロに聞いたほうが良い。
これは釣りを楽しむ上においてもとても大切だ。

いざ釣り場に到着してからは、
YouTubeで糸の結び方や仕掛けの作り方、
釣り方を復習した。

久しぶりにやろうとすると糸を結ぶことすら一苦労だった。

道具をセットし、糸に針を付け、針にエサを付ける。

一つ一つのプロセスが何だか釣りたい魚に近づいているようでワクワクする感覚。
中学生の時以来、久しぶりに蘇った。

東京で初めて釣った魚は京浜運河でハゼだった。

ハゼはサイズこそ小さい。

しかし、魚が掛かったときの、
糸と竿を伝ってこの手にやってくるビクビク感は忘れもしない。

その後、赤坂見附の弁慶橋でルアーでブラックバスを釣り、
城南島海浜公園で同じくルアーでシーバスを釣った。

時々、初心者の友人に教える機会もあったが、
基本的に一人で行くことが多かった。

ただ、それにも次第に寂しさを感じ始めていた。

そんなとき、僕に新しい釣り友達ができた。

彼は僕と同世代。

東京で会計士・税理士として活躍していて、
ビジネスマッチングアプリを通じて知り合った。

そのアプリには仕事上での繋がりを求めて
様々な業種・職種のビジネスマンが登録しており、
普段は広告関係の仕事をしている僕も、
新しい仕事に恵まれるといいなと思いそれを使っていた。

そのアプリは自分のプロフィールや経歴に加え、
趣味も登録ができる。
僕は趣味に「釣り」と入れていたので、
その彼とは趣味で繋がったとしか考えられない。

「私も釣りが大好きでして、ぜひ一度お話しできませんでしょうか?」

これが彼からきた最初のメッセージ。
ビジネスマッチングが目的なら、
釣りが趣味と言いつつも仕事の話さらにはガッツリ営業されるのではないか?
と少し不安を抱きながら会うことになった。

東京の恵比寿でランチをした。不安は杞憂であった。
終始釣りの話しかしなかった。
どこのメーカーが好きだとか、
これまでどんな釣りをしてきたかとか、
これからしてみたい釣りとか。

東京に来て人と繋がったときの感覚の中でも最上級に嬉しかった。
東京で同世代の釣り友達があまりいなかったので、
貴重な存在でかつ釣りへの愛も極めて高い。

さらにどこかファッショナブルで、
独自の釣りスタイルも持っていそう。

プチ憧れとでもいったところだろうか?
素直に彼といろんなところに釣りに行きたいなと思った。

「また飲みに行きましょう!釣りも行きましょうね!」

そう言ってその日は別れた。

釣りは極めて中毒性の高い趣味だと思う。

自分があれこれ考えて狙う戦略性、
竿に伝わる振動と魚の抵抗を感じながら逃がさないように釣り上げるスリル性、
行けば新しい魚・景色・人との出会いがある物語性。

初心者が始めるには敷居が高い印象があるかもしれないが、
釣りを始めてスグに成功体験を得てしまうと、
それからはやめるのがとても難しくなる。

一方で、夏場は日焼けで真っ黒になってしまうかもしれないし、
ケアしないと虫にもいっぱい刺されてしまうかもしれないし、
釣った魚を持ち帰りすぎて冷蔵庫が魚でいっぱいになって恋人や家族に怒られるかもしれない。

釣りに夢中になりすぎて恋人や家族との時間をないがしろにしていると思われるかもしれない。
こんなリスクが待っていたとしても、釣りにハマってしまう自分は既に中毒状態なのだろう。

これからその彼との釣り旅が始まる。

きっといろんな景色、魚、人に会うのだろう。
それは思い出として写真に残そう。

いろんな言葉も交わすだろう。
その時々の心情もあるだろう。

この思い出は写真じゃ残しきれないから、
エッセイとして書き綴っていきたい。

一つわかったのは、僕は釣りは誰かと行くほうが楽しい派であるということだ。

<続く>