そう。今日はプレミアムフライデー。
とはいっても、今のところ仕事以外に“プレミアム”な予定なんてない普通の日になりそう。
朝起きてはじめに思ったのがそれだった。
その時。
ブルルっとLINEが届く。朝から珍しい。
(誰だろう?)
スマホを開いてみる。
(なんだ後輩男子か。しかも食い気味だなぁ。)
コンマ一秒そう思ってしまったのは、嘘とは言えない。
いやいや、それは失礼な話だ。何とも有り難い釣り仲間からのお便りである。
釣り仲間とのやりとり“あるある”かもしれないが、
書かれている場所に「釣りに行こう」というニュアンスが含まれていることがよくある。
この場合、東扇島がそれだ。
なるほど。
プレミアムフライデーに釣りか。
釣りは好きだけど、その過ごし方はあんまり考えたことがなかった。
(アリだなぁ。)
スグに行こう!と返信した。
21時に迎えに来てくれるらしい。
20時までに仕事を片付け、スグに帰宅。
ササっと釣りの用意をしながら、自宅で待機。
結構ワクワクしている。
20:40。
まだ時間がある。
カップラーメンでも食うかと思ったその時。
「着きました!!」
とまた食い気味のLINEを受信した。
後輩が車で僕の家の前まで迎えに来てくれたようだ。
(早い。夜メシも食ってないのに・・・)
コンマ一秒そう思ってしまったのは、嘘とは言えない。
いやいやそれは何様だという話だ。何とも有り難い釣り仲間からのお迎えだ。
釣具を持って車に飛び乗り、川崎方面へ向かう。
「ゴメン、途中でコンビニ寄ってもらっていい?メシを買いたくてさ・・・」
訪れたのは東扇島というエリアで、この辺りでは有名な釣り場だ。
車を降り、岸壁に沿って海の様子を見ながら歩く。
電灯が等間隔で岸際と海を照らす。
向かいにはキラキラ光る工場地帯。
潮の音を聞きながら、こんなサイバーなイルミネーションを味わえるのは格別だ。
これもまた釣り人の特権だ。と思いながら、竿とリールをセットし、糸にルアー(疑似餌)を付ける。
使用したのは、ブラックバス釣り用の竿とスピニングリールに、4ポンドのフロロカーボンのライン、に、メバル釣り用の小魚を模したシャッドテールワーム(ソフトルアー)を使った。仕掛けは、針から1mほど離したところにオモリを付けたキャロライナジグだ。
まずは、水面に見える明暗の境目にワームを落とす。
夜のメバル釣りでは基本的な戦略だ。
表層に近いところを早く泳がせる。
次に中層をややゆっくり泳がせる。時折、竿をシャクってみる。
これを何回か繰り返すもダメだった。
22:30。
あまりにお腹が空いたので、ここで夕食。
コンビニで買ったおにぎり2つを食べる。
海で潮の音を聞きながら食べるのは、何とも格別である。
ちょっと攻め方を変えてみよう。
ワームを着水後、次は底まで落としてみる。
着底したことを糸伝いに確認し、2回ほどシャクった時だった。
“グググッ”
アタリだ!
瞬時にアワセる。体が反射的に反応した。
“グググッ”
結構引く。
この感覚が病みつきになるのが釣りである。
その後、少しの時間魚とのファイトを楽しみ、
やって来てくれたのは、20cmほどのメバルだ。
ありがとう。
時計は深夜1時。
気がつけば、それから2時間ほど粘っていたが、次の魚の顔を見ることはなかった。
風も強まってきて、寒くなってきた。
「そろそろ、帰りますか」
後輩が声を掛けてくれた。
帰り際に、この海と夜景をもう一度目に焼き付ける。
もっと魚の顔を見たかったが、
平日の夜に釣りに行くのって、
ちょっとプレミアムな気分だ。
車に向かう途中、
「また来ましょうね。」
と後輩が言う。
食い気味に
「もちろん!!」と答える自分がいた。