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4月最後の金曜日。

そう。今日はプレミアムフライデー。

とはいっても、今のところ仕事以外に“プレミアム”な予定なんてない普通の日になりそう。

朝起きてはじめに思ったのがそれだった。

 

その時。

ブルルっとLINEが届く。朝から珍しい。

 

(誰だろう?)

 

スマホを開いてみる。

(なんだ後輩男子か。しかも食い気味だなぁ。)

 

コンマ一秒そう思ってしまったのは、嘘とは言えない。

いやいや、それは失礼な話だ。何とも有り難い釣り仲間からのお便りである。

釣り仲間とのやりとり“あるある”かもしれないが、

書かれている場所に「釣りに行こう」というニュアンスが含まれていることがよくある。

この場合、東扇島がそれだ。

 

なるほど。

プレミアムフライデーに釣りか。

釣りは好きだけど、その過ごし方はあんまり考えたことがなかった。

 

(アリだなぁ。)

 

スグに行こう!と返信した。

21時に迎えに来てくれるらしい。

 

準備準備。

20時までに仕事を片付け、スグに帰宅。

ササっと釣りの用意をしながら、自宅で待機。

結構ワクワクしている。

 

20:40

まだ時間がある。

カップラーメンでも食うかと思ったその時。

 

「着きました!!」

とまた食い気味のLINEを受信した

後輩が車で僕の家の前まで迎えに来てくれたようだ。

 

(早い。夜メシも食ってないのに・・・)

 

コンマ一秒そう思ってしまったのは、嘘とは言えない。

いやいやそれは何様だという話だ。何とも有り難い釣り仲間からのお迎えだ。

 

釣具を持って車に飛び乗り、川崎方面へ向かう。

 

「ゴメン、途中でコンビニ寄ってもらっていい?メシを買いたくてさ・・・」

 

到着。その光景は。

訪れたのは東扇島というエリアで、この辺りでは有名な釣り場だ。

 

車を降り、岸壁に沿って海の様子を見ながら歩く。

電灯が等間隔で岸際と海を照らす。

向かいにはキラキラ光る工場地帯。

 

潮の音を聞きながら、こんなサイバーなイルミネーションを味わえるのは格別だ。

これもまた釣り人の特権だ。と思いながら、竿とリールをセットし、糸にルアー(疑似餌)を付ける。

 

今夜はメバルに会いに来た。

使用したのは、ブラックバス釣り用の竿とスピニングリールに、4ポンドのフロロカーボンのライン、に、メバル釣り用の小魚を模したシャッドテールワーム(ソフトルアー)を使った。仕掛けは、針から1mほど離したところにオモリを付けたキャロライナジグだ。

まずは、水面に見える明暗の境目にワームを落とす。

夜のメバル釣りでは基本的な戦略だ。

 

表層に近いところを早く泳がせる。

次に中層をややゆっくり泳がせる。時折、竿をシャクってみる。

これを何回か繰り返すもダメだった。

 

22:30。

あまりにお腹が空いたので、ここで夕食。

コンビニで買ったおにぎり2つを食べる。

海で潮の音を聞きながら食べるのは、何とも格別である。

 

釣り再開。その1投目。

ちょっと攻め方を変えてみよう。

ワームを着水後、次は底まで落としてみる。

着底したことを糸伝いに確認し、2回ほどシャクった時だった。

 

“グググッ”

 

アタリだ!

瞬時にアワセる。体が反射的に反応した。

 

“グググッ”

 

結構引く。

この感覚が病みつきになるのが釣りである。

その後、少しの時間魚とのファイトを楽しみ、

やって来てくれたのは、20cmほどのメバルだ。

ありがとう。

 

 

帰ろう。

時計は深夜1時。

気がつけば、それから2時間ほど粘っていたが、次の魚の顔を見ることはなかった。

風も強まってきて、寒くなってきた。

 

「そろそろ、帰りますか」

後輩が声を掛けてくれた。

 

帰り際に、この海と夜景をもう一度目に焼き付ける。

 

もっと魚の顔を見たかったが、

平日の夜に釣りに行くのって、

ちょっとプレミアムな気分だ。

 

車に向かう途中、

「また来ましょうね。」

と後輩が言う。

 

食い気味に

「もちろん!!」と答える自分がいた。