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寒い。

2月中旬。先日まで雪が降っていた東京の朝はキリッとしていながらも、
まるで空気が肌を突き刺してくるような寒さである。
まだ道路の脇には、積もった雪が解けずに所々残っており、
今冬の厳しい寒さを目でも感じさせられる。

魚の顔が見たい。

「この時期でも魚の顔が見れる釣り場はないかなぁ。」

少し前から、このPLUSFメンバーで行く初めての釣りはどこにしようかと、
考えていた。今は寒いが、春の訪れまでは釣りを待ちきれない。

ところで、今回のメンバーは、男3人。皆、都内在住である。
予めお伝えしておくと、僕たちは決して釣りが上手いとはまだまだ言えないのだが、
美しい自然の情景や魚との触れ合いが好き。
ただただ釣りが好きなだけなのである。

釣り方やテクニックは、釣りの情報媒体で学んだり、
実際に釣り場で上手な人に教えてもらったりと絶賛勉強中である。

そんな僕らの今回の行き先は、
神奈川県の「開成水辺スプリング」さん。

ここは都心からもほど近く、
敷地内にレストランや釣り具のショップも併設している管理釣り場(※1)。
お一人でも家族や仲間と一緒でも楽しむことができ、とても過ごしやすい。

そこでフライフィッシング(※2)やルアーフィッシング(※3)をして、
ニジマスと戯れることにした。

さぁ、出発。

レンタカーを借りて、東京ICから首都高速、東名高速道路を経由して、大井松田ICを降りて下道を少し走り、到着。

土曜日ということもあり、途中渋滞に巻き込まれたり、
カーナビとの息が合っていなかったのか、僕が道を遠回りしたりしたのもあって、
結局2時間ほどかかった。

途中、海老名に大きなサービスエリアがあるので、
一度休憩するのが良いかもしれない。

しかし、期待に胸を膨らませているからか、
車中でのくだらない話や釣りトークは盛り上がり、感覚的にはあっという間に着いた。

到着した。

3時間のチケットを購入し、フィールドに出る。
見渡すとポンド(※4)が3つあり、
早速、最も手前のポンドで、水際にニジマスが数匹漂っているのを発見した。

テンションがアガる。

早速準備をし、釣りを始める。
一人は毛針を使ったフライフィッシングで、
一人は擬似餌(ルアー)を使ったルアーフィッシングで魚にアプローチ。
そして、一人は写真を撮ってくれていた。本当にありがとう。

手前にいる魚の目の前に、ルアーやフライを通す。
何度も何度も通すものの、見事に見向きもしない。

いわゆる、スレている(※5)状態である。

このまま魚の反応がなく、2時間ほどが過ぎる。
ちょっと退屈になりそうだ。

救世主・釣り場のマスター現る。

この釣り場に一人、さっきから時折大きく手を叩く男性がいる。
どうやら、魚を狙う鳥を追い払っているようだ。

外見的にも50代前後で、釣竿は持っていない。
きっとここの支配人かスタッフの方だろう。

その男性は、
僕たちの下手っぷりに居ても立っても居られなくなってか、

「ちょっと貸してみな」
と、僕のフライ用の竿を持ち、
見事な手さばきで、5mほど先で水面近くに漂うニジマスの目の前に送り込む。

「この時期に狙うニジマスは、表層から50cm以内をゆったりと泳いでいるやつだ。
基本的な釣り方は、その目の前に、ルアーやフライを通すんだ。」

そして、続けて、

「スレていない、沖で泳ぐ群れを探して狙え。着水して3秒して食わなかったら、
もう一度投げるか、別の群れを探せ。」

フンフンと聞いていると、

「よしっ、食った!」

“バシっ”とアワセ(※6)ては、その男性、いや、先生は、
あっという間に釣り上げてしまった。

そして、ついに。

どうやら、僕はフライのキャスト(※7)もヘタっぴらしく、
先生のご指導のもと、少ない力で遠くへかつ正確にフライを送り込む練習をした。

そして、何度かやっているうちに、
7〜8m沖の表層に漂うニジマスの付近にフライを着水させることに成功した。

すると、
フラフラ〜っとニジマスがフライに近づいてくる。
フライの存在に気付いてくれたのだろう。

・・・少しドキドキする。

“パクっ”

ハッと思い、
口に針をかけようと、
竿を大きく振り上げて、アワセる。

“グググっ グググっ”

掛かった。

“グググっ グググっ”
この魚の引きをじっくり楽しむべく、
慎重に糸を巻き、魚を手繰り寄せる。

そして、ついに、魚を手にした。
キレイな魚体のニジマスだ。

「あぁ。これだ。」
やっとの思いで手にした魚への喜びに、つい心の中に声が漏れる。

続いて、ルアーでしていたもう一人も魚を掛けた。
しかし、残念ながら、途中で魚に逃げられてしまった。

「な、言った通りだろ」
と言わんばかりの先生の表情。
本当におっしゃる通りです。ありがとうございます。

はじめは正直コワイ人かと思っていたが、とても優しく教えてくれた。
やはり毎日この場所に立ってらっしゃる方は違う。

「俺は、毎日(この釣り場を)見てるから、わかるんだ。」
さすがです。

さぁ、帰ろう。

予定の3時間になったため、今回の釣りはここで終了。
時間は16時を迎えようとしている。

「(釣れやすいのは)朝と夕方だな。魚の活性が上がるから。」
先生の一言一言が全て学びになる。

最後にゴミを残さないよう、周囲をチェック。
しかし、ここは来られている釣り人の方のマナーの良さと、行き届いた管理によって、
釣り場にゴミが落ちていなかった。クリーンな釣り場で釣りができるのは本当に気持ちいい。

ここからもっと粘れば・・・という後ろ髪を引かれる思いと、
もっと釣りたかったな・・・という後悔、
そして、
次はもっと釣りたい・・・という希望を胸に
釣り場を後にした。

帰りは行きのテンションは何処へやら、
帰りの車中は疲れてぐったりムード。これも、また釣りである。

それでも、各メンバーを自宅近くで降ろすときには、

「んじゃ、また!」

と明るい別れ際を迎える。

あっさりしているようにも思えるが、
「また釣り行こうな」としっかり聞こえる。きっとそういう意味でお互い言い合う。
これが男友達ってものかもしれない。

春が待ち遠しい。
さて、次はどこに行こうか。

※1 管理釣り場:人工の池等に魚を放流した、有料の釣り場。釣り堀の中でもスポーツフィッシング、ゲームフィッシング的趣向が強いものである。
※2 フライフィッシング:毛針(フライ)と専用リール、ロッドを使った釣りのスタイル。
※3 ルアーフィッシング:生き餌でなく、疑似餌(ルアー)を用いて行う釣りのスタイル。スポーツ感覚で楽しまれる。
※4 ポンド:池のこと。フライやルアーのような欧米式の釣りでは、関連用語は英語を使うことが多い。
※5 スレている:同じ場所で何度も釣られていると魚の警戒心が強くなり、フライやルアーに興味を示さなくなること。
※6 アワセる:ルアーやフライに食ってきた魚に針を引っ掛けるために、竿を振り上げること。
※7 キャスト:ルアーやフライを狙いを定めて投げること。